社労士勉強していると分かりますが、年金は国年・厚年・労災年金問わず担保に取ることができません。ただし唯一の例外として(独)福祉医療機構を通した年金担保融資があります。
これは年金年額の3/4を上限とし、利用使途に限りはありますが借入ができる制度です。お支払いは15回(年金毎なので2年6ヶ月)。年金から天引きで返済となります。融資と名の付くものの中でも審査は緩いほうで、利用者数はかなり多いです。
預貯金が無い年金受給者が急な出費に迫られた時に用意された低金利の融資制度ですが、ここ何年かにわたって融資額など段階的に縮小傾向にあり、令和4年3月末をもって受付終了となります。
なぜ終了するのでしょうか。
別に貸付需要が無くなってきたとかそんなことはありません。むしろ根強い需要があります。問題は「借りやすさ」にあります。
よほど高額年金または計画的なご利用でない限り、年金だけで生活しかつ一時支出に耐えられない預貯金の人が借りると、返済のため年金が減るわけですから生活苦になります。また特別徴収される介護保険・健康保険が普通徴収(つまり口座振替or手払い)になり、生活苦だと保険料の滞納が発生しやすいです。
政府としては年金担保貸付制度をやめて、社会福祉協議会の生活福祉資金貸付へと誘導することを考えています。社協の貸付は同時に「生活困窮者自立支援制度」という、継続的な相談体制とセットになりますのでその貸付の適否や返済中の相談支援が行え、生活困窮対策がしっかりとれる、といった考えのようです。
社協の貸付も低金利です。返済中困ったことがあれば相談ができる。アドバイスを受けながら順調に生活再建ができる。良いことのように思えますが、実は問題が潜んでいます。
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