前回の記事で年金担保融資終了後の年金受給者の借入の受け皿となる社協の生活福祉資金について、それにまつわる債務者側の問題についてお話をしました。
今回は債権者側たる社協の問題点から話を進めていきます。
従来の年金担保はすでに年金から返済額を天引きされていますので、回収率は100%です。
ただ、すでに述べたように社協の生活福祉資金は自分で返済(口座引き落としor手払い)が必要ですから、滞納発生の余地があります。
それに加え社協には融資の管理回収のノウハウが乏しいです。例えば現在新型コロナウイルス困窮対策で生活福祉資金の特例貸付が行われていますが、過去阪神大震災やリーマンショック、東日本大震災でも同様の貸付が行われました。もともと困窮者に貸すわけですから滞納率が高いです。
現実問題として阪神大震災やリーマンショックって何年前の話でしょうか。今でもこの時代の滞納対応に苦慮しているという新聞記事があったほどです。
もっとも、金融機関ならいざ知らず「福祉」を冠する団体が差押えには容易に動けないという事情もあります。
さらに現在新型コロナ対応生活福祉資金融資(総額1兆円を超えている)を絶賛貸し出し中です。そこに年金担保融資の代替として貸付需要が集中したら、社協はどうなるのでしょう。金融機関と違って「返済中の生活相談」をしながらの融資です。相当なマンパワーが必要になると思います。
確かに実現すれば生活困窮者対策とセットになるので理想的ですが、現実問題として現場からは悲鳴が聞こえてきそうです。
社労士または社労士受験生としてここまでの情報が必要か、と問われたら、不要です。せいぜい「年金担保は来年春に終わりますよ」程度で良いわけです。ですが、社労士は社会保険のみならず社会保障の心得も求められるわけですから、豆知識程度に現状を押さえておいてもいいのかもしれません。
「年担終了後の資金需要ってどうなるの?」という疑問から少し調べてみました。
おしまい。