以前に比べて単純に条文等の知識を問う問題が減り、事例つまりケースを出したうえで判断する「応用型」の問題が散見されてきています。特に択一で増えてきていますので、必然問題の文章量が増え解答に時間がかかるようになっています。
ではどんな事例問題が出ているか。パターンとしては2つあります。
1つは判例・裁決例等を基に作成されているパターン。これは仮想の事例ではありません。実際に起こり、またある解釈の基に判定された実例を出題しているケースです。科目としては労基・労災に多いです。
簡単な例を言うと「次のうち労働災害に当たるのはどれか」みたいなやつです。分かる人にはわかる有名な事例「不発弾遊び」とかはこちらになります。
また雇用保険などは「雇用保険業務取扱要領」というのがあり、一部事例が載っています。こういうところからも出たことがあります。これはハローワークの内部文書ですが一般公開されています。雇用保険法のコンメンタールです(全部読もうとするとめまいがする)。
これは掘り出してきて覚えたらいいだけですので比較的対策が取りやすいです。
もう一つが複数の条文知識の組み合わせ問題です。どういうことかというと、例えばAという制度があり、要件はBです。並立するCという制度もあり、要件はDです。では仮想の要件Eの場合、AとCの制度の適用や如何、といった感じです。これは年金科目に多い気がします。年金制度は複雑怪奇でまた年齢・年代によって違います。1カ所でもあいまいなら解けないような作りになっているので恐怖です。
年金問題は架空の事例が作りやすい(基準がはっきりしている)のでこの傾向が強いです。
いずれにせよ、単なる条文丸暗記で対応できる時代はだんだん過去のものになりつつあり、柔軟な応用力が問われます。これを涵養するには文章読解力の向上も必要ですが、基礎知識のより一層の蓄積が必要です。
まったく面倒な試験です。