一見するとちょっと間違えそうな話なので今回はこの「コロナ」と「病者の就業禁止」についてのお話です。
労働安全衛生法68条では「事業者は、伝染性の疾病その他の疾病で、厚生労働省令で定めるものにかかつた労働者については、厚生労働省令で定めるところにより、その就業を禁止しなければならない」とされており、施行規則に定める伝染性疾病とは「病毒伝ぱのおそれのある伝染性疾病」とあります。
ここだけ知っていると「ははあ、ということは新型コロナにかかったら仕事できず隔離なんだ」と思いがちです。
勉強ができている人はここで「ん?」と思います。なぜか。新型コロナウイルス感染症は上記の「病毒伝ぱのおそれのある感染性疾病」ではないからです。
何か変なことを言っていると思うかもしれませんから説明します。確かに新型コロナは伝染もしますし病毒伝ぱします。しますけど、労働安全衛生法上「病毒伝ぱのおそれのある感染性疾病」は何かと言うと、通達では今のところ「結核」だけです。
ですからコロナだけでなくエボラだろうがマールブルグ熱だろうが労働安全衛生法に定める「就業禁止の疾病」ではありません。
じゃあどう考えればいいのか。新型コロナにかかっても出勤していいのか。実は出勤してはいけません。その根拠が労働安全衛生法にはなく「感染症法」にあるだけのことです。
言葉遊びのようですが、時々ここを間違って覚えて「インフルエンザも伝染るから就業禁止なんだ」と思ってしまう人がいます。その原因は「学校に出られなくなるし」です。こちらは学校教育法か何かが根拠法ですので、極端言うと法律上インフルエンザで会社に出勤してもいいわけです(衛生管理上の問題はあります)。
「厚生労働省令で定めるもの」とかがテキストに出た場合は「それが何か」を常に注意しましょう。特に安衛法では多いです。
いい例がすでにここにあります。冒頭の労働安全衛生法68条の中にもう一つ「厚生労働省令で定める」という文言があります。これの意味は何でしょうね。